自由を鳴らす石
ここ半年ほどはずっと不満だった。白い塗り絵を目の前にして自分の好きな色を塗ることを許されず「ここはこういうふうに塗りなさい」と言われているような不自由さを感じる。
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2019年12月1日
気持ち良い自傷と胸に息づくトカゲ
トカゲの頭に触れた瞬間わたしは心の半分をあのひとに渡した。名前も素性も知らないままで夜がくるたび落ち合いそのたび情を交わした。味も温度も質感も痺れもすべて覚えている。
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2019年10月10日
理想の世界のこと
クローゼットの扉を開けると理想の世界がある。そこに住む『パパ』は私の父とは違いきちんと仕事をしている。
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2019年9月18日
壊れた玩具と無限の彼方
私は想像する。幼い頃のこの人は、どういうふうに玩具で遊んだだろう。きっと手荒に遊んでいただろう。この人のもとにやってきた玩具は、傷や汚れや欠損が絶えなかっただろう。
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2019年8月26日
鳴けない蝉の夏
彼女は私が過去に出会った誰よりも美しい造形をしていた。にもかかわらず彼女はいつも自分自身を粗末に扱った。
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2019年8月22日
二度とあえなくても、またいつか
父は転勤が多いひとだった。僕は幸い行く先々で友だちを作ることに苦労しなかったが、それでも「自分はよそ者だ」という引け目は常に感じていた。
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2019年8月11日
自殺する本能
いざその時を迎えると僕の身体は思ったように機能しなかった。「はじめてなら上手くできないのは珍しいことじゃないよ」お姉さんはそう言ってもういちど僕の頭を撫でた。
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2019年8月9日
わたしより綺麗な子と仲良くしたくない
わたしがリーコの友だちで居るのは彼女がわたしより醜かったからだ。
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2019年7月19日
夕陽のアルバート
アルバートは死なない。アルバートは老いない。アルバートには無限の時間がある。親しい人間が死んでいくたびにアルバートは情けないほど泣いた。
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2019年6月20日
傘が刺さる距離にて
あの夏休みは死ぬほど素晴らしかった。ふたりともお金がなかったのでわたしの部屋に籠もってばかりいた。脳がふやけそうなセックスに身も心も沈めた。生ぬるい沼の底にいるような日々をだらだらと過ごした。わたしたちは恋人同士ではなかった。
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2019年6月11日
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