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おそまつさまのわたし
さきほど街で出会ったばかりの名前も知らない若い男の子はベッドの上で裸になったわたしの身体をおそるおそる触った。きっと実際におそれているのだろう。
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2024年1月10日
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昨日のおれを描く
おれは面白い映画を観れば面白かったと言ったし酷い映画を見たら酷かった言った。だが従兄はすこし違った。どんなに酷い映画であっても従兄はその作品の良かったところについて話をした。
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2022年6月12日
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たのしいお料理教室カレー編
わたしは愚かだろうか。幸せな恋を知っているひとの目にはきっと愚かに映ることだろう。
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2022年5月20日
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雨留める
「この子がこんなに泣きやまないのはわたしがちゃんと愛せてないからかな?」
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2022年1月25日
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それは硬くてひんやりとしていた
私は過去に一度も恋をしたことがなく他者から恋心を向けられることも苦手だ。だが空飛ぶ鳥を見て劣等感を抱く人間があまりいないのと同じで私も自分が恋愛できないことについて特に引け目を感じる事はない。
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2021年12月30日
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だからずうっとふたりで暮らすと思う
ママは泣き虫だった。わたしが万引をして捕まったときも、不登校になって担任が家に尋ねてきたときも、ママはいつだって「私が悪いんです」といってわたしの顔を見ることなく泣いた。
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2021年5月28日
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車輪よ空へ、翼よ町へ
どうしてこんなつまらない田舎に生まれちゃったかなあ。どうしてあんな両親のもとに生まれちゃったかなあ。そんなふうに思ったことは一度や二度じゃない。
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2021年4月27日
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歯車の音
私の半生は概ねそんな調子だ。多くの出来事が私自身の納得を置き去りにしたまま過ぎてきたのだった。
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2021年4月11日
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ローカル線と最終巻
わたしはお姉ちゃんだから我慢する役割を務める義務があった。わたしひとりが我慢すれば丸く収まる。他のひとが嫌がる役回りを笑顔で引き受ける。自分に用意されている人生はそういうものなのだと思っていた。
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2021年3月13日
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骨と棲む
わたしは一年ほど前からクジラの脊椎骨と同棲をしている。
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2021年3月12日

 

 


 

 

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