小説を書きはじめてから2年ぐらいの間に起こったこと

僕が小説を書くようになったのは15の時でした。
今31歳なのでもう書き始めてからの方がちょっと長いですね。

書き始めた当初、小説の題材にしていたのは今と違って自分のことや自分の頭の中にある事柄ばかりでした。いわゆる私小説というやつです。もちろん私小説で素晴らしい作品を書くひとは無数にいるのだけど、当時の僕のそれは、あくまで自慰行為の枠を出ていなかったように思います。

中学校を始め、所属する集団での人間関係が常にギクシャクしてしまうような少年だったので、溜め込んでいるモノというのもまぁまぁあり、自分を題材に書くという形での発散もそれはそれで当時の自分には必要な行為だったのかなと思います。まだSNSもない時代で、あんまりひとに見せて喜ぶという感じでもなかったし。

大きく変化したのは高校時代。受験して入学した全日制の高校にやっぱり馴染めなくて、サポート校(昼間に通う定時制のようなものだと思っていただければ)に通い始めたのが大きなきっかけでした。この学校については過去にも何度か書いているし、いろんなところで話してもいるのだけど、男も女もそれ以外も、ヤンキーもオタクもバンドマンも、愛国主義者も芸術家も格闘家も、本当に色々なタイプのひとがいました。

校則も制服もなく、流行り廃りもみんな勝手にやろうねという感じだったので「普通」とか「みんなと同じ」という概念が基本的になかった。そんな環境の中で過ごしていると、それまでどんな集団にも馴染めず「自分対世界」という構造で世の中を眺めていた自分が、「自分と、個人と、個人と、個人と…」というふうに変化していったような感覚が強くあったわけです。

個人個人を眺めるようになると、それぞれが違った価値観や経歴を持っていることにも気づいて、そういうものを知っていくことがすごく楽しくなった。すると「これはもう自分のことばっかり書くより、このひとたちのことを見て書いた方が面白いのでは」と思うようになり、それからというものはずっと、自分以外のひとを題材にしたものばかりを書くようになりました。

この時期から強く意識し始めた「個人個人を眺めることの面白さ」というのが、「あなたのショートショート」を始めとした今の仕事にもだいぶ生きています。

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