特別編6.小さいけれど確かにそこにいる

 夏。妻とつきあい初めてからちょうど六年経った。赤ちゃんは春に生まれる予定なので夏をふたりきりで過ごすのはひとまずこれが最後ということになる。

 この六年で積み重ねてきた思い出は数え切れないほど。色々な話をした。色々な場所に出掛けた。一緒に見たものや聞いたものや食べたものもたくさん。喧嘩も結構した。お互いの変化もいちばん近くで見てきた。ふたりだけの時間をこんなに長く持てたことは幸せだと思う。これだけの思い出を土台にして新しい家族を迎えられるのがものすごく嬉しい。
 
 この時期に妻は最初の妊婦健診に行った。心臓の音も聞かせてもらえたという。エコーの写真も貰ってきてくれた。まだまだ小さいのでそんなに鮮明には分からないけど、それまで自宅での検査でしか確認していなかった赤ちゃんが妻のお腹にきちんと居ることが分かった。

 自分の中での実感も少しずつ大きくなっていく。もちろん妻ほどはっきり感じられてはいないのだろうけど、「まだよく分からない、それでいて大変な、だけれど確かに幸せな変化に対して、きちんと気持ちを追いつけていこう」という心持ちを徐々に作っていく。

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