ゼロ歳記06.はじめてのベランダ

 一ヶ月検診が終わると日中に窓を開ける時間を作り娘の肌や肺を少しずつ外気に慣らしていく。天気が良い日には抱っこをしてベランダにも出てみる。日の当たる場所はまだ眩しくてびっくりしてしまうようで連れていくと目を瞑って顔をそむけていた。けれど日陰から青空を見せてあげたときには目を丸くしてずっと見つめていた。

 寝かしつけの際にはどういうわけだか僕が歌いながら抱っこすると眠った。それもただの子守唄ではなく、スーパーマリオやカービィのゲーム音楽を、まるで蛙の断末魔みたいな酷いダミ声を作って歌わなければいけなかった。それ以外の寝かしつけ方ではなかなか眠らなかった。どうしてあんなもので眠れていたのかは未だに分からない。不思議な子だ。
 
 とはいえこの時期には生活リズムのようなものが徐々にでき始めた。新生児の頃はきっかり三時間毎に授乳していたけど、本人が比較的夜にまとめて眠ってくれるのと、僕らの体力が限界近かったこともあり、夜間の授乳間隔を少し開けることに。これで僕と妻も四時間から五時間程度まとめて寝ることが出来るようになった。ありがたい。

 世の中は新型コロナの影響ですっかり疲れていた。テレビを点けても明るいニュースは少ない。当時編集者として携わっていたスポーツメディアでも、試合をやっている競技がほとんどなかったことから、コロナ関連のニュースばかりを扱っていて気分が重かった。

 ただ、そういう状況下であっても赤ちゃんの成長に関わる話題は明るいものだった。もちろん大変ではあったけれど、娘の存在に支えられていた部分も大きかったように思う。


 

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