きりりとした見た目に反し妻は気が小さい。怪談とか怖い話などは苦手なタイプである。エイプリルフールで吐かれた嘘を思いっきり真に受けるタイプである。夜中にスマホで都市伝説のまとめなどを読んでしまい眠れなくなるタイプである。
なので夜道をひとりで歩くことなどももちろん不得手である。特に駅から自宅にかけての道はとてもひとりで歩けたものではないのだという。だから妻が帰宅する時には僕が駅まで迎えに行かなければいけない。駅から自宅までは約400メートルほどの道のりだが比較的明るい商店街で遅い時間でもある程度の人通りがあるから一体何に怯える必要があるのか僕にはわからないが本人が怖がっている以上はひとりで歩かすわけにもいかないわけである。
ふたりでこの道を歩きながら、妻は大抵その日にあった良いことや悪いことについて話すし、時々野良猫も見つける。怖がるどころか楽しそうにも見えるが、僕もけっこう楽しんでいるので深くは追求しない。