ゼロ歳記11.子どもの遊ぶ声

 六月半ば。生後二ヶ月の娘は他者への興味を日々募らせていく。

 ベビーカーに乗せて公園の横を通ってみれば近所の子どもたちが遊ぶ声を気にする素振りを見せる。娘より九ヶ月早く生まれた甥の動画を目の前で流すと食い入るように見つめる。五月下旬の新生児訪問で来てくれた助産師さんは「赤ちゃんは子どもの遊ぶ声が好き」と言っていたのだけどその通りなのだろう。
 
 妻は出産でダメージを受けていた身体がある程度回復してきたとのことで運動を始めた。ユーチューブのエクササイズ動画をテレビに流しながら身体を動かしていく。その様子を見ることもまた娘のお気に入りになった。妻が手足を大きく動かすと、娘の手足もばたばた動き回る。物真似していたのか、単に興奮していたのか。

 ある夜、僕が作業部屋にひとりで居て仕事をしていると寝室から妻の声が聞こえた。様子を見に行くと何やら眺めの寝言をぶつぶつ言っていた。そしてベビーベッドには妻の寝言で起きてしまった娘。

 娘は寝言を喋り続ける妻のことをしばらくじっと観察していたのだ。やがて寝言が終わると、気が済んだのか娘もそのままスンと寝直した。


 

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