特別編15.赤ちゃんさま。パパです。お世話になっております

秋。ふたつめの大きな台風が通り過ぎていった。

この時期にはもう赤ちゃんには外からの音が聞こえていたのだという。お腹に手を当てて話しかけてみるのだけど毎回「こんにちは……。パパです」のようなぎこちない導入から入ってしまうことを妻から「堅い」と笑われた。いざ耳に届いているということが分かると如何せんかしこまってしまう。「赤ちゃんさま。パパです。お世話になっております。いかがお過ごしでしょうか? 先日は元気な心音を聴かせていただき誠にありがとうございました。お会いできるのを楽しみにしております。引き続き何卒宜しくお願い申し上げます」などと言ってしまう。

前の週に自宅で赤ちゃんの心音を聞いてからというもの毎晩の心音チェックが日課のようになった。今日も元気でいるということが分かるだけでもずいぶん安心する。はじめの頃は心音のする場所を探るのに数分を要していたのだけどすぐに見つかるようになった。妻が慣れてきたのか心音そのものが力強くなってきているのか。

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