Pちゃんという子が居ました。
Pちゃんは、みんなに内緒のお友達です。
クラスのみんなには内緒です。
パパにも、ママにも内緒です。
ぼくがひとりで居る時だけ、Pちゃんはやって来ます。
ぼくはPちゃんと一緒に、お喋りしたり、本を読んだり、テレビを見たりします。
Pちゃんと居ると、ぼくはとても楽しいです。
だからぼくはPちゃんのことが大好きです。
ある日、Pちゃんは突然、居なくなってしまいました。
ぼくがひとりになっても、Pちゃんはやって来ません。
どこをさがしても、Pちゃんの姿は見えません。
名前を呼んでも見つかりません。
Pちゃんが大好きな本のページを開いても、
Pちゃんが大好きなテレビをつけても、見当たりません。
ぼくは悲しくなってしまいました。
ぼくは寂しくなってしまいました。
ぼくは泣きたくなってしまいました。
ぼくはPちゃんに会いたくて仕方ありません。
ひっしになって、ぼくはPちゃんを探しました。
クラスのみんなに、聞いて回りました。
パパにもママにも、聞いて回りました。
「Pちゃんを知らない?」
「Pちゃんはどこにいったの?」
クラスのみんなは、Pちゃんのことを知りませんでした。
パパもママも、Pちゃんのことを知りませんでした。
ぼくは泣いてしまいました。
わんわんわんわん、泣いてしまいました。
それから、どんなにさがしても、Pちゃんは帰ってきませんでした。
ぼくの周りに、クラスのみんなが集まってきます。
「Pちゃんの話を聞かせてよ」
「そのあと、Pちゃんはどうなったの?」
「Pちゃんのこと、もっと知りたいよ」
「あたしもPちゃんに会いたかったよ」
みんながぼくの周りに座って、にこにこ笑っています。
ぼくはみんなに、Pちゃんのことを話して聞かせます。
毎日毎日、Pちゃんのことを思い出して話をします。
ぼくは今も、少し寂しいけれど。
みんな、みんな、Pちゃんのことが大好きになりました。