だからずうっとふたりで暮らすと思う
ママは泣き虫だった。わたしが万引をして捕まったときも、不登校になって担任が家に尋ねてきたときも、ママはいつだって「私が悪いんです」といってわたしの顔を見ることなく泣いた。
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2021年5月28日
車輪よ空へ、翼よ町へ
どうしてこんなつまらない田舎に生まれちゃったかなあ。どうしてあんな両親のもとに生まれちゃったかなあ。そんなふうに思ったことは一度や二度じゃない。
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2021年4月27日
歯車の音
私の半生は概ねそんな調子だ。多くの出来事が私自身の納得を置き去りにしたまま過ぎてきたのだった。
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2021年4月11日
ローカル線と最終巻
わたしはお姉ちゃんだから我慢する役割を務める義務があった。わたしひとりが我慢すれば丸く収まる。他のひとが嫌がる役回りを笑顔で引き受ける。自分に用意されている人生はそういうものなのだと思っていた。
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2021年3月13日
骨と棲む
わたしは一年ほど前からクジラの脊椎骨と同棲をしている。
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2021年3月12日
わたしはママに愛されているから
今日。わたしはママに嘘をつきました。
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2021年1月24日
魔法使いと携帯電話
あの大学に入学できるのはエリートばかりだといわれる。だが実際にはそのほとんどが入学後もさらに続く競争に敗れ自身の凡庸さに失望し理想と現実との間にある落とし所を探ることに卒業までの時間を費やすことになる。
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2021年1月13日
拾われなかった小さな仔猫
十代だった当時のわたしは生まれ育った土地から逃げてきたばかりでお金も仕事も住所も持たず何の価値もない小娘でしかなかった。だがあのひとはそんなわたしをびっくりするほど高い価格で買った。
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2020年12月19日
音なく登る泉
わたしは何も自分で選べない。誰かに代わりに決めてもらわなければ何も選べない。
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2020年11月29日
プリズムの家
私の家は様々なひとを招き入れる場所だ。だから家具や調度品は誰の目にも好ましく映るものだけが並んでいる。たとえ私が良いと思ったものでも、好き嫌いが分かれそうなものであれば、家の中からひとりでに消えてしまうのだった。
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2020年11月18日
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