世を厭わなきゃ創作できないなんて誰が言ったのか【愉快な仲間たち02】

mixi上でヨシダユカと出会ったのは2009年でした。
 
その頃の彼女は確か写真を取ったり詩を書いたりそれらの同人誌を企画したりするひとだったと思う。作品も本人も仄暗く厭世的で物静かな雰囲気を湛えていて、でもその奥では何か大きなものに認められるのだという野心、或いは認められなければならないという脅迫観念のようなものをギラギラと燃やしているみたいに、僕には見えました。
 
内に隠していた、隠れてなかったけど、そんな熱気に気圧されてというか、ちょっと怖かったので、「あんまり深くは関わり過ぎないようにしとこ」というのが、僕が当初の彼女に対して抱いた印象でした。
 
そんな印象からスタートした間柄が10年経った今でも続いているのだから人間関係というのはぜんぜん分かりませんね。もちろんそれだけ月日が経ったのだからお互いに色々なことが大きく変わりました。
 
僕自身の変化は割愛するとして、彼女の雰囲気もだいぶ違っている。当初纏っていた厭世的な雰囲気はだいぶ鳴りを潜めて、世を厭わずに生身のままで作品づりをして、喜んだり悩んだりする姿もあんまり隠さない。今では友人としてずいぶん気軽に付き合うことができるし、先日は僕の妻も混じえて三人でパンケーキを食べに行ったりもした。
 
一方で作品の方は10年前よりずっと先鋭化されて素敵なものになっている気がします。彼女は現在フォトグラファーとかライターとか編集者とかの顔があるんだけど、フォトグラファーとしての作品が中でもいちばん好き。彼女が撮る写真の殆どには人の顔が映らず、にもかかわらず人間の色気とか営みとかがすごく感じられます。
 


 


 

 

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