いつかどこかで遠くの星の青

 彼女の見た目は人間そっくりだったんだけど実は人間ではなく身体は薄い軽い貝殻みたいなもので出来てて、何か嬉しいことがあるたびにピシッとヒビが入った。あんまりたくさんヒビが入ると彼女は死ぬらしかった。でも彼女はしょっちゅう僕の手を引いて楽しい場所へと遊びに出かけたがった。映画館にも遊園地にでも動物園にも夜の海にも出掛けた。ある日のこと、あまりにも嬉しすぎたせいで彼女の腕はピシピシ音を立ててから割れて壊れてしまった。僕は怖くなって、このままでは本当に彼女が死んでしまうと怖くなって彼女を自分の部屋に閉じ込め、出掛けないよう言った。「どうしてわたしを部屋に閉じ込めるの?」と彼女が尋ねたので、君を死なせたくないんだ。と答えた。そうしたら彼女は突然パリンと砕けて、光る破片になった。綺麗な破片になった。

 

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