果たして自分は何者だろう?とサイコロを転がす①①①①①①

ヒトビトというのは目が不揃いなサイコロのようなモノで①の目ばかりをふたつもみっつも持ってるひともいれば③の目を持っていないひとだっているし⑦とか⑧とか珍しい目を持ってるひとさえいる。①から⑥までひとつずつ持つ「ちゃんとした」サイコロのひとなんて少数派どころか実際のところは殆どいないだろう。

そうはいえどもサイコロたちを四角い箱にびっしり敷き詰めればその時に上を向いた1面だけしか見えない。例えばあなたの通う学校とか会社が「全員①の面を上に向けて収まるべき」というような箱であるのならば、隣の人がどんなサイコロで①の他にどんな面を持っているかなんて恐らく分からない。あるいはみんなが「ちゃんとした」サイコロのように見えてしまうだろう。


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上記の状態で敷き詰められたサイコロたちを目にして「これらはひとつひとつ違うサイコロなんですよ」と言われても信じることはなかなか難しい。でも実際にはみんな違っていて『実は俺には⑧の目があるんだ…』なんて悩みを誰にも言えずに抱えているサイコロだっている。「ちゃんとした」サイコロなんか繰り返すけどほとんど存在しなくて、ちゃんとしなくても生きていけるのです。

もしも自分がサイコロで「ちゃんとした」サイコロでないことは分かっているとしても、じゃあ自分がどんな6面を持っているのかということになると意外とみんな分かっていないもの。僕もわかんない。分かんないのが当たり前だと思う。だって人間鏡を見ないと自分の顔も認識できないわけで、日頃箱に収めたまま外に出さない部分であるなら分かりようもない。ひとに見せるか鏡を見なけりゃ分かるわけがない。

先日「あなたのショートショート」の依頼で7年前ぐらいから相互フォローの方にお会いした。いつもどおりインタビューとかカウンセリングに近い感じで相手の話を聴いていくのだけど、お相手の方は自分の話をしながら「そういうことだったのか」と納得する場面が幾つかあり印象的だった。たとえ自分のことであってもひとに見せなきゃなかなか分かんないのだ。

「あなたのお話を聴いてショートショート書きますよ」という活動を始めてからそろそろ1年経つ。えっもうそんな経つの。これやっていると「そのひとが普段いる箱でなかなかひとに見せていないだろう面」がすごく見えるのでそこが面白い。もちろん自分が「ひとの6面全部見られる」なんて思い上がるつもりはぜんぜんないのだけど、少なくとも普段の仕事やご家庭とは違った面を見せてもらえてる気がして楽しい。「創作の一部ですよ」って名目があると話しやすい項目っていうのがあるんだろうなと思う。

(あとこのところ家にこもっての仕事が多いのでこれを通してひとと会ったり通話できたりするのが普通にとても嬉しい)

「辺川があなたのお話を聞いて小説を書きますよ」という活動をしています。お申込み・お問い合わせは上記バナーより。些細なことでも気軽にお尋ねください。
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