ゼロ歳記31.パーカーの紐

 十月末。娘はできることが日に日に増えていく。できることが増えていく姿をみるとこちらとしても新しいおもちゃを買ってあげたくなる。甥が生まれたときに弟が「子どもができたら財布の紐がゆるくなった」と話していたのも理解できる気がした。もっとも赤ちゃん自身はどこからだって遊べるものをみつけだしてくる。わりと値段の張る玩具よりも、僕の眼鏡だとか、パーカーの紐とか、バスタオルとか、カーテンの端っことか、日常生活の中にある物々を好んで遊び道具にしている。
 
 娘は指しゃぶりをよくする。お腹がすいたときや眠い時。泣いた後。気持ちを落ち着けるための行為としてやっているみたいだ。いつかは辞めてもらなわないといけないけどこの時点ではまだ赤ちゃんらしい可愛い行為のひとつとして見ている。そうはいえどもよく指しゃぶりをする。ミルクをあげようとしても指をしゃぶって哺乳瓶を咥えないことまである。指でお腹は膨れないだろう。
 
 けれどよく考えてみる。まだ娘が妻のお腹の中にいたころ「お腹の中でも赤ちゃんは指しゃぶりをしている」「胎児のうちから指をしゃぶることで、生まれた後に乳首を吸う練習をしている」と聞いたことがある。つまり本人にとっては哺乳瓶を吸っていた期間よりも指しゃぶりをしている期間の方がずっと長いのだ。不安なときに慣れた動きをしたいと思うのは当然なのだろう。


 

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