ゼロ歳記41.みんな誰かの子

 一月初旬。妻は例年通りテレビで箱根駅伝を眺める。「子どもが生まれてからはじめて駅伝を見たけど、この選手たちも誰かの子どもなんだよな……と考えたら泣けてきてしまった」と言う。僕らはひとの親になったのだ。

 娘はといえば、つかまり立ちの状態から手を離すことが増えてきた。フリーハンドで数秒立って、それから尻もちをつく。めげることなく再びつかまり立ちをする。これを繰り返す。「あとひとつコツを掴めば何も掴まず立てそう」という状態なのだろう。

 赤ちゃんの変化は本当に著しく、つい前日まで出来なかったことが、ある日とつぜん出来るようになったりする。でも反対に、ずっと平気だったものが、いつの間にか苦手になっていることもあった。例えばこの時期の娘は、それまで特にこれといったリアクションを示していなかった掃除機の音を怖がるようになった。妻が掃除機をかけはじめるとすごい勢いでハイハイをして僕のところに助けを求めにきた。可愛い。

 カープの応援グッズを玩具として娘に渡していたら遊ぶようになった。スタンド応援さながらにカンフーバットをカンカン叩いてくれた。平和になったら一緒に野球場に行こうね。

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