掌編小説 破片の男 さっきこの場所で親に虐められた子どもが泣いてたんだ。これはその子どもが落としていった破片さ。あんたはそう言うとその破片を自分の腕にぐさりと突き刺した。 2011.07.22 掌編小説
掌編小説 塞がる膜 私はゼンマイ仕掛けだ。ゼンマイの穴は私の背中にある。ゼンマイのネジはあなたの右腕だ。私が裸になり背中の穴を向けると、あなたはそこに右腕のネジを突っ込む。 2011.07.22 掌編小説
掌編小説 トカゲの星 先生が言うには、精神病のせいで私は人間の姿をしているから毎日しっかりトカゲになるための薬を飲みトカゲの姿になるまで退院してはいけないということだった。 2011.07.08 掌編小説
掌編小説 縛られテミスのⅣ 銃を持ったおれが対峙したのは、イーッとかアーッとか甲高い声で叫ぶような怪人なんかではなく、年端もいかない、痩せた身体をした小さな子どもだった。 2011.06.07 掌編小説
掌編小説 機械の王国 この暗い部屋の中で、あたしは何年もひとりでいる。今のあたしはどんな姿だろうか。外で暮らすひとびとは今のあたしを見て、今のあたしの生活ぶりを見て、不気味に思うだろうか。それとも怖れるだろうか。 2011.01.19 掌編小説