辺川 銀

掌編小説

わたしは代替品

あのひとは彼女に深く心酔していた。もはや信仰といってもいいぐらいに。だから彼女が去っていったあと、あのひとはまるで偶像を彫る僧のように数十年もの歳月を費やし、彼女とまったく同じ姿形の、生きた人形を作り出した。
掌編小説

依存と愛と薔薇

男は水と引き換えに言葉を要求した。『愛している』とか『幸せだ』とか。そういう言葉を口にするよう私に要求した。それを拒むと水は貰えなかった。
掌編小説

あした生まれるわたし

わたしはもっと遠くへ行きたい。だけれどママは目の届かないところへわたしが行くことを嫌がる。だからわたしは今夜もママと喧嘩をすると思う。
掌編小説

そして次の朝へ

わたしは恵まれた女だった。生まれた時から大人になり今に至るまでずっと恵まれていた。自分がどうして泣いているのかわたしは分からない。
掌編小説

くらげは今日もつめたいところで眠る

あの時から、自分が誰かを好きになることはとても悪いことで、いつか誰かに好意を受け入れてもらえる時が来るまで、許されることはないんだろうなと思ってしまっている。
掌編小説

橋の途中にて

この橋の向こう側に行ってはいけないと大人たちから強く言われていた。だから私は橋より手前のことなら何でも知っていたが、向こう側のことは何も知らなかった。
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表現の自由とか作家の傲慢とか世界への敬意

仕事の中でアーティスト寄りのひとを取材する機会が結構あるのだけど、その中で「創作における表現の自由はどこまで許されるのか」みたいな話題が出ることは結構多いので、自分の考えを整理するという意味でもここに書こうと思う。
掌編小説

鉄の桜もすぐに散る

あのひとの八重歯を僕はよく覚えている。あのひとはいつも笑っていたからだ。自分の病気について僕に打ち明ける時でさえ微笑みながら喋った。
掌編小説

私の血の機能

過去に一度だけ性交を試みたことがあった。私は彼の、その起伏のなさに、強く心を惹かれた。
掌編小説

ハッピーエンドはやって来ないだろう

楽しい時間はどうして終わってしまうの? ずっと楽しいままだったらいいのに。そういうふうにどうして出来ないんだろう
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結婚式をやった

2/27に結婚式をやった。40人ほどしか入らない小さな会場に親族だけを呼んで。1週間前までは雨の予報もあったのだけど当日を迎えてみたら雲のひとつもなかった。僕の入場シーンで扉が開いた瞬間の歓声。目を真っ赤にしていた自分の両親や弟たち。彼らが[全文を読む]
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我と我が家の近況

お久しぶりです。なんだか今日は温かいですね。2月だというのに。もう春がくるのか。花粉症は怖い。
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嫁。風邪をひく

そういえば年末に嫁さんが風邪を引いて仕事を早退してきた。
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年が変わったので今年の抱負とか言う

はい。あけおめ。ようこそ2016。
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クリスマスが来ますよ

僕はけっこう年齢がいくまでサンタクロースを信じていた子どもだった。