掌編小説

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マカロニちゃん

僕は自分の生まれた理由を知らない。掃除機やディスクのプレイヤーや自動車などと違って僕は自分が何をして生きれば良いのかさっぱり分からない。
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ゴールデンマン・サックス

彼は少し間をおいてから、忘れられるのが怖いからさと、口元の髭を軽く触って笑った
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春はずっとずっと真夜中

少女に見えていないのなら、花を咲かす意味などひとつもないような気がした。二度と花など咲かせるものかと思った。
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翼のある子ども

みんなが私に優しくしてくれるのは翼があるからだ。この翼が完全に消えてしまったら誰も私に見向きもしなくなる。
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生きているから逃げ続けなければいけない

こうして逃げ続けることに意味があるんだろうか。明日もどうせ寝不足で、お腹を空かせて逃げまどう時間が、待っているだけだ。
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サラリーマンvsエイリアン

死ぬために戦うのではない。生きるために戦うのだ。
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海兵服でやってきた

長く持っても秋までは保たないだろうと言われた。妹が助からないと分かってから、私はいちども見舞いに行けていない。
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流れ星のエステル

私たち火星で暮らしている子どもは、みんな幼い頃に地球で親に捨てられ、連れてこられた子どもだ。
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理由があれば雨はいつでも降る

彼女の足の不自由さというのは、彼女を気遣いたい人達にとっての、とても分かりやすい理由だ。そんな彼女に対して、私は羨ましさを感じる。
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海と翠

ある日突然あの子の名字が変わった。朝、出席を取る際、担任が聞きなれない名字を口にし、あの子が返事をした。
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私はくじらの夢を見た

自分には才能があると思った。けれど美術の大学に入ると私は凡庸だった。会うひと誰もが自分よりも優れた才能を持っているように感じた。
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天使を拾いました

誰かに必要とされていなければ不安で仕方なかった。他人から欲しがられるためであればどんなことでもした。だから私は昨日の晩も見知らぬベッドで眠った。
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忘れてしまう町にて

私は泣かなかったが、彼が死んでしまったのは私のせいだと思った。きっと私がここに来るより前のことをすべて忘れたせいだ。
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寒い場所からあなたは来たのだという

娘はこの砂漠を出て都会で暮らしたいと答えた。若い時間をこの砂漠の中で終えてしまうのは辛いと、消え入るような力のない声で言った。
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わたしの硝子は砕けない

自分の家族が口も利きたくないぐらい酷い家族なら良かったのにとわたしは時々思う。