掌編小説 橋の途中にて この橋の向こう側に行ってはいけないと大人たちから強く言われていた。だから私は橋より手前のことなら何でも知っていたが、向こう側のことは何も知らなかった。 2016.05.08 掌編小説
掌編小説 線香花火はかならず寂しく終わる わたしたちはお互いの名前も知らなければ連絡先も知らない。ただ毎年いちどだけこの場所で線香花火をして過ごすということだけが、もう五年ものあいだずっと続いている。 2015.11.07 掌編小説
掌編小説 可愛くなりたかった 自分の容姿への自信は他者からの声によっていとも簡単に二転三転した。可愛いと言われ続ければ自分が絶世の美女であるかのように錯覚することが出来た。 2015.09.16 掌編小説
掌編小説 けむりの夜 この男はわたしにとって何より有害だというのに。いつの間にか離れることが出来なくなっていた。ちょうど煙草をやめられない身体になっていたのと同じように。 2015.01.18 掌編小説