掌編小説 箱の子ども 大勢で喋りながら歩いてくる女子高生のグループとすれ違った。彼女たちは笑っていた。私は笑い声が苦手だ。私は笑い声が苦手だ。自分が笑われているような気がするからだ。 2011.07.08 掌編小説
掌編小説 トカゲの星 先生が言うには、精神病のせいで私は人間の姿をしているから毎日しっかりトカゲになるための薬を飲みトカゲの姿になるまで退院してはいけないということだった。 2011.07.08 掌編小説
掌編小説 縛られテミスのⅣ 銃を持ったおれが対峙したのは、イーッとかアーッとか甲高い声で叫ぶような怪人なんかではなく、年端もいかない、痩せた身体をした小さな子どもだった。 2011.06.07 掌編小説
掌編小説 機械の王国 この暗い部屋の中で、あたしは何年もひとりでいる。今のあたしはどんな姿だろうか。外で暮らすひとびとは今のあたしを見て、今のあたしの生活ぶりを見て、不気味に思うだろうか。それとも怖れるだろうか。 2011.01.19 掌編小説